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合宿免許 二種の使える裏技

コンピュータで処理することになるが、当時はノート型の小型コンピュータなどはなく、デスクトップ型のような大振りなコンピュータで画像を処理するしかなかった。
次に、道路にある障害物を見つける目に当たる部分の開発が必要になるのだが、そのためにホンダは電波式ミリ波レーダーの開発を始める。
ミリ波レーダーというのは、ミリ波と呼ばれる周波数帯の中の七六ギガヘルツの電波を使うもので、一〇〇メートルほどの範囲内で、対象物からの反射波を測定して距離や相対速度を測る装置である。
雨、雪、霧などの悪天候の条件下でも高い精度を維持することができ、レーザー・レーダーよりも高価ではあるが性能的には上だ。
ホンダが当時、自前で開発したミリ波レーダーは、横方向が三〇センチほどの大きな長方形のアンテナがついたものだった。
現行の九センチ×一一センチのものと比べると、とにかくサイズが大きかった。
開発スタート当時の技術水準を考えると、突拍子もないSF的な研究だったろうが、現在ホンダが「先進予知機能」と呼ぶ運転支援技術で使われているレーダーなどのセンサの類は、ほとんどがこの頃のプロジェクトを通して開発されている。
「二〇年先の話をしてもいいということだった。
それに、開発するのが自動運転のクルマということなので、ある意味予想がしやすかった。
これが二〇年後の材料を予想しろといわれたら難しかったと思う」(石田氏)人間の目にあたるカメラの部分は、当時小型化で先行していたソニーのCCD(電荷結合素子)を使った。
買ってきた民生用のCCDカメラに何十万円もするコンピュータをつなぎ画像処理をするといったことをやっていたのだ。
しかもこのような重装備になると、車載バッテリーでは電力不足で役に立たない。
そのため、アコード・エアロデッキの屋根に小型の自社製発電機を積み、それで車内に設置した画像処理用のコンピュータなどを動かしたのだ。
このように現在のレベルからすればとてもスマートとはいえない状況ながら、ホンダの自動運転草は開発を開始してから約三年後には、正確に道路の白線を認識して、道路の真ん中を時速三〇キロくらいで取りあえず走り出したのだ。
越えられなかった技術の壁ところが、開発開始から約一〇年後の九六年頃に、彼らは自動運転の開発を諦めてしまう。
それにはいくつかの理由があった。
まずは自動運転草に対する社会的なニーズがなかった。
ホンダは道路上の白線をカメラで認識しながら自動操縦することを考えたのだが、全国の道路すべてにきちんと白線が引かれているはずもなく、そのような道路のインフラに依存すること自体にそもそも無理があった。
しかし、開発責任者の石田氏が自動運転を諦めた決定的な理由は別にあった。
それまで前方監視役としてミリ波レーダーを開発してきたのだが、どうしても克服できない技術的な壁があったのだ。
「(ミリ波レーダーのような)レーダー・センサにも限界があって、突然感知しなくな用るとか、ある角度で電波が受けられないことなどがあったりする。
そのようなことは非常に低い確率でしか起こらないのだが、とはいえ逆に一〇〇パーセントの信頼性を保証するのは難しいわけです。
もし、そのようなセンサを採用すると九九・九九九パーセントの信頼性になるわけで、センサが検知できない部分(不検知)に対しては、ドライバーが必ず何らかの形で対応しなければならない。
それがセンサの現実の姿です。
コンマ何パーセントの不検知にどう対応できるのか。
そういう問題がつねにつきまとうのです」追突しそうになると自動的にブレーキをかける追突軽減装置も、同様に「一〇〇パーセントの信頼性」の問題に直面した。
CMS(コリジョン・ミティゲーション・ブレーキ・システム)と呼ばれる追突軽減装置を開発した小高賢二・本田技術研究所主任研究貞もこう解説する。
「この装置は追突を予測してブレーキをかけます。
しかし単にブレーキをかけるといっても、その制動距離は晴れていれば短くて済むが、雨であれば長くなってしまいます。
それに、前のクルマが急ブレーキをかけたら、後続車の衝突までの時間は短くなる。
このシステムは、このような様々な状況を完全に予測して制御することまではできない。
自動ですべての追突回避をやろうとするのは技術的にはかなり難しいのです」他社と比べホンダが技術的に劣っていたわけではないのだが、彼らは追突軽減装置への完全停止機能の導入を見送った。
「(衝突回避のためにクルマを減速させることはしても)あえて完全停止までさせないのは、技術的な問題が残されているため」(小高氏)という判断でもあった。
これらの問題が自動車メーカーにとって悩ましいのは、ドライバーの安全を守ることが売りの装置にもかかわらず「このシステムだと一〇〇パーセント衝突しません」などとは断言できないという点だ。
そう言い切ってしまえば、メーカーは一〇〇パーセントの安全を保証せざるを得ない。
「雨が降っていたから」などの言い訳は通用しない。
現在の技術レベルでは、残念ながらそこまで保証するのは難しいのが現状なのだ。
しかし、だからといって研究から得たノウハウを捨ててしまっては、これまでの開発予算と努力のすべてが無駄になってしまう。
そこで小高氏らは、追突軽減装置には技術的な限界はあるものの、使い方次第では有用なシステムであると、完全停止を目指すのとは別の価値を兄いだしていった。
追突の原因を詳細に調べていくと、追突しそうな状況に対してドライバーの反応が遅いか、あるいは、追突を避けようと反応はするのだがブレーキの踏み方が弱いことが要因とわかってきた。
だとすれば、このドライバー側の不足している点を技術で支援できれば追突事故の多くは救えるだろうと考えたのだ。
完全自動から運転者支援へ一方、石田氏らは、技術的な限界からクルマの完全な自動走行は不可能と判断した。
だからといって、ドライバーがこれまで通りにハンドルを握ってすべての操作をすれば、従来のクルマと何ら変わらなくなってしまう。
そこで彼らは、これまでの研究で得たノウハウを使って、運転者を支援する技術を開発できないかと考えた。
まず思いついたのは、半自動ともいえる操縦システムである。
つまり運転手が二人いるようなもので、一人は本物(人間)のドライバー、もう一人はレーダーと電動パワーステアリングを使って半自動的に運転をサポートするドライバー(システム)という仕掛けだ。
電動パワーステアリングはご存知の方も多いであろう。
ドライバーがハンドルを操作すると、ハンドルについているセンサがそれを読みとり電気信号に置き換え、ドライバーの意図する方向へタイヤを向けるのにどれだけ電気モーターを回せばいいか指示をだす。
これまでは油圧を使って同様の操作をしていたのだが、今ではこのような電動パワーステアリングが多くなった。
このような仕組みゆえ、ハンドルを握ったときの軽い、重いといった感覚は設定次第でいかようにでも変わる。
たとえばBMWのように、油圧式だがわざとハンドルの操作感を重くして、ドライバーに安心感を与えようとセッティングしているメーカーもある。
このような設定は各社各棟で、その味付け次第でクルマごとの個性が出やすいところでもある。
今は、ちょうどメカニカルなクルマから電子化されたクルマへの移行期で、ユーザーも、いろいろなタイプのハンドリングの感覚に戸惑っているところだろう。

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